大規模言語モデルを活用した看護初学者向け臨床判断学習支援システムに関する研究

看護系の高等教育機関では、実際に患者が向き合う問題を判断し,問題に対する援助プログラムを選択できる看護的思考能力の養成が重要になっています。

我々は,看護初学者が、臨地実習のプレ教育として、看護的思考過程を自己トレーニングできる臨床判断学習支援システムの開発を行ってきました。このシステムは看護実習を模した学習シナリオで構成されており,学習者は,評価に必要な知識を確認し,判断及び援助に関わる観点を選び,かつその論拠を書きます。そして,指導者によって設定されたルールに基づき,学習者の学修成果に対する5段階の総合的な評価を提供してくれます。

一連の学習活動は思考のトレーニングを目的とおり,自分が選択した行動選択を論拠と紐付けて説明する学習の振り返りが重要となります。我々は,指導者(他者)がシステムから得られる学習成果を参照して,学習者に観点別のフィードバックを行うことで,学習の振り返りが促進されると考えました。そこで,本研究では,大規模言語モデルのAIが,学習者の行動選択に対する指導者の効果的なアドバイジングの代替になり得るかを明らかにしします。

研究では、アプリが持つ学習履歴と指導者が持つ評価観点(アプリのルール)の情報を用いて、プロンプトエンジニアリングを活用してアドバイジングの生成を試みます。これにより、指導者の代わりに臨床判断指導まで行う知的学習支援システムの実現を目指しています。


臨床判断学習支援システムデモンストレーション動画