大学の情報系学科における持続可能な課題解決型PBLの研究
高等教育機関の情報系カリキュラムでは、地域団体や企業を顧客役のステークホルダーとして、学生が情報システムを開発し課題解決を目指すPBL(Project Based Learning)が行われています。こうしたPBLにおいて、学生が顧客役と綿密に連携しながら期間内に達成する到達点や開発経過を都度確認し、素早く、かつ着実に成果を上げていくためのシステム開発手法として、アジャイル開発が注目されています。
アジャイル開発型のPBLが協働的な学びの一部だとすると、学生のアジャイル開発プロセスへの意識や尊守には、初等中等教育も含めた協働的な学びの経験を通じて育んできた能力や態度が発揮・反映されることも考えられます。しかしながら、初等中等教育で学生が育んできた能力や態度が、実際にアジャイル開発プロセスへの意識や尊守に重要な要素へどのように寄与しうるのか、具体的な関係性は明らかになっていません。
そこで本研究では、この関係性を明らかにし、それを踏まえた効果的な教育カリキュラムについて、実践的に検討していきます。
現在は、アジャイル開発プロセスの意識や尊守に重要な要素と、初等中等教育で学生が育む能力や態度の関係性について検討しています。この関係性を踏まえ、学生がアジャイル開発プロセスを意識・尊守するのに不足している、もしくは発揮しきれていない能力を明らかにし、これに対応する教育カリキュラムを検討、実施していきます。