自律的な学びを支援するeラーニングシステム

概要

 本研究チームでは、知的なeラーニングシステムに関する研究を行っています。従来のeラーニングシステムでは、教師が教材を作成し、教える内容をコース(科目)に沿って学習者に学ばせるのことが一般的です。これに対して我々は、学習者が自ら学ぶ・互いに学ぶという視点を大切にし、自律的な学びを支援するシステムに関する研究を進めています。研究で用いるシステムは公立千歳科学技術大学で利用されているeラーニングシステム「CIST-Solomon」です。

コンピュータが学習者に適した問題を出題

 CIST-Solomonでは、問題が数百から数千問といった数で用意されています。その際、どの問題を取り組むべきかを学習者は考えるでしょう。本研究では、学習者が今まで解いてきた履歴を用いて、その学習者に適した問題を出題する機能(Computer Based Testing, CBTと呼ばれる)を開発しています。その機能では、知識が身に付いてない学生に対して難易度の低い問題を出題したり、知識がある程度身に付いた学生に対して難易度の高い問題を出題したり、学生が苦手な問題を中心に出題することができます。

chart

 コンピュータが学習者に適した問題を出題するためには、問題自体に難易度を設定する必要があります。CIST-Solomonでは、専門家が経験を元に難易度を設定しているため、学習者に出題する問題が、本当に学習者に適しているか分かりません。本研究では、学習者の学習履歴を用いて、学習者に適した難易度を問題に設定する研究を進めています。具体的には、潜在ランク理論(LRT)と呼ばれる理論を用いることで、自動的に問題の難易度を定義することが期待できます。

chart

CBTを活用したグループ学習

 本研究では、講義時間内で行っていた学習を、前述のコンピュータが学習者に適した問題を出題する機能を活用して予習化することで、授業時間にはグループワークを通じた主体的な学習を通じて知識定着を図ることができるモデルを提案します。本研究フィールドの講義では、講義の初めに行うCBTで得られる能力値を用いてグループを作成します。能力値の高い人と低い人を同じグループにすることで、学生自身が教え合い、課題達成を目指します。

chart